気になる人(語り)
生まれてから、33の家に住んできた。なかでも大分県で高校を卒業するまで23の家に住んでいる。父親の勤め先の転勤のおかげなのだが、ヒトが住めないような家にたびたび暮らしてきた。たとえば、幼稚園の時に住んでいたのは、600坪の本物の武家屋敷。門番のご夫婦が、出入りのたびに大きな黒い門を開けてくれる。脇には、自家用車代わりの馬が飼われていた。小学6年の時には、800坪の敷地の武家屋敷で寝起きしていた。寝室に本物の槍やナギナタが掛けられていた。あるいは、中学の時は、伊藤博文が泊まったと言われる明治時代からの料理旅館から学校に通学していた。さらには、高校時代には、私の部屋が100畳という信じられない広さの温泉旅館で暮らしていた。遅刻の原因が玄関からバス停までよりも、自分の部屋から玄関までのほうが遠かったセイであった。
以来、変な家に敏感になっている。街を歩いていて《気になる家》を見つけると、暮らしを想像してにんまりしている。きっとその暮らしは・・・変。